人工透析
高度な医療設備を扱う、プロとしての自覚
奈良県下の透析施設は現在40数施設、葛城市内では当院のみです。
私たちは地域密着でありながら、高い技術と豊かな人間的資質を重視して、すぐれた透析治療をご提供できるよう努力しております。
医療技術が日々進歩していく中、最新の治療機器を積極的に導入するのはもちろん、自動化された透析医療にあっても、マンパワーが大切だと考えています。
例えば、極めて高度に清浄化された水質を維持するには、多額の費用に加え様々な人的努力が必要です。
それにより、貧血や炎症反応、長期透析合併症への効果が期待できます。
全スタッフが「どんな高度な設備も、扱うのは人間」との自覚を強くし、高度な医療の追及に日々取り組んでおります。
心のこもった透析治療を
人工透析の患者様の多くは、一生お付き合いとなる方々です。
それだけに、患者様と医療スタッフとの人間関係を築くことが、非常に重要であると私たちは考えています。
患者様の立場に立った、どなたにも行き届いた心配りで公正な医療を実践していきたいと考えています。
当院の透析治療の根底にあるのは、患者様への「愛情」。
肉体的にも精神的にもハードな治療を、長期間続けていかねばならない方々に、少しでも良くなって頂きたい、元気になって頂きたい。
そのような思いを胸に、日々励んでいます。
例えば、透析時間をリラックスして過ごして頂くために、体調にあわせた姿勢を保つため、独自のイス型ベッドを使用しています。
また、糖尿病や透析の患者様は抵抗力が弱く、傷や水虫が重症化しやすいため、足の病気の予防が大切で、そのためのフットケアにも力を注いでいます。
スタッフが定期的に足の観察をし、自己管理できるよう指導を行っており、必要な方には透析中に創傷処置・足浴・爪切りを行っています。 家族を想うような気持ちで、「愛情」のこもったケアを実施するよう努力しています。
当院の透析施設の特徴
安全性の追求
看護の目が隅々まで行き届くように、透析室は視界を妨げる柱を無くしました。また、緊急処置が迅速に行えるように、透析チェアを採用しています。
透析予後の改善に重大な影響を与えるとされる「無菌で清潔な透析液の供給」を可能とするため、オンラインHDFにも対応できるJMS社製の透析システムを採用、さらに定期的なエンドトキシン・細菌のチェックを行い、厳格な水質管理を実施しています。
透析開始・終了時の事故を防ぐため、基本操作の自動制御により脱血・返血機能を自動化した、全自動透析用コンソールを採用。自動プライミング機能、急速補液機能も備えています。(※厚労省より認可を受けている逆濾過タイプの全自動透析コンソールです)
他施設では使用されていない出血監視装置や室内ビデオカメラ、ヒューマンエラーをなくす為の透析自動装置を採用しています。
- 出血早期感知センサーを使用
- オゾン・ウイルス殺菌装置
(コロナウイルス殺菌で唯一公的に認められている) - 人的ミス軽減の為の透析・自動記録装置
- 在宅血液透析の導入・管理
- 一般血液検査装置
高度な透析看護技術を有する「透析療法指導看護師(DLN)」が、患者様への手厚い肉体的・精神的ケアを行います。
治療行為において、万一の人為的ミスによる被害を防ぐため、複数のスタッフによる慎重なチェック作業を行っています。
快適性の追求
ゆったりサイズで清潔な電動リクライニング式チェアを採用。自由な姿勢で過ごして頂けます。
各透析チェアにデジタル放送対応の液晶テレビを設置。
床暖房や二重断熱ガラス、間接照明など、快適な環境を生む設備を多数導入しています。
透析中は、スタッフが患者様の状態を常時チェックし、楽な姿勢の確保や、身体の痛みの緩和などをケアします。フットケア(足のむくみ、不快感などのケア)にも力を入れています。
1週間のスケジュール
当院では夜間透析も行っております。
時間\曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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午前 8:30~13:30 | ||||||
午後 14:00~19:00 | ||||||
夜間 17:00~22:20 |
送迎サービス
ご自分で通院できない方には、送迎サービスを行っております。
車椅子のまま乗車可能な福祉車両を使用し、透析者様用の出入口には屋根付のロータリーがございますので、雨の日でも濡れることなく出入りして頂けます。
車両に限りがあるため、待ち時間が発生する場合がございます。ご理解・ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
尚、介護保険により要介護認定を受けておられる患者様に関しましては、介護タクシーでの通院をお願いしております。予め、ご了承ください。
ご不明な点がございましたら、お気軽に当院までご相談ください。
透析の種類
血液透析(HD)
腎臓がほとんど働かなくなった時(慢性腎不全)、体内の血液の浄化を腎臓に代わって人工的に行う方法です。
体外に取り出した血液を透析器(ダイアライザー)に通し、透析液との濃度差により血液中の老廃物を除去して(拡散)、血液をきれいにする治療法です。
一般的には週3回、1回4時間かけて治療を行います。日本では、透析患者様のほとんどがこの治療を行っています。
血液濾過透析(HDF)
血液透析に加え、透析中にどんどん点滴を行い、点滴をしながらその分の液も濾しとっていく方法です。
血液透析は、低分子量物質の除去効率は高いものの、β2ミクログロブリンに代表される大分子量物質の除去は血液濾過より劣ります。
HDFは、血液透析と血液濾過の長所を併せ持つ方法で、通常の透析では除去しきれない様々な小分子たんぱく質の除去が可能となり、手根管症候群、心臓などの各種臓器へのアミロイドの沈着、破壊性脊椎炎などの合併症を予防できます。
全身の痒み、下肢のイライラ感などの不愉快な症状、色素沈着の改善も認められると報告されています。
また、血液透析と比べて血圧低下を起こしにくいため、透析困難症(血液透析によって血圧低下等を起こす)の患者様の治療にも向いています。
在宅血液透析(HHD)
患者様ご自身が介助者の協力を得て、自宅で血液透析を行う治療方法です。
病院で行う透析とは違い、透析の時間延長や回数の増加などが自由に行えます。
患者様のリズムに合わせた治療が行えるので、社会復帰がしやすく、より有意義な透析生活が期待できます。
また、長時間透析(5時間以上)など透析効率の高い治療が行えるため、体調も良くなり活発に過ごせるようになります。
安心して家庭透析を行うには知識・技術の習得が必要で、そのためのトレーニングを介助者の方と共に受けて頂く必要があります。
当院では、医師、看護師、臨床工学士ほか家庭透析担当スタッフが支援させて頂きます。
医療施設は緊急時の対応、装置のトラブルや保守点検など側面から支援し、血液透析治療は患者及び介助者が自己責任の元に主体的に行います。
当院では日常の透析の中で血液透析の訓練を行いますので、トレーニングのために仕事を休んだり、入院して頂く必要はありません。
腹膜透析(連続携行式腹膜透析)(PD)
腹部の臓器を包んでいる、腹膜を透析膜として利用する方法です。
腹腔内に腹膜透析専用の透析液を数時間入れておきます。血液透析に比べて身体への負担が少ない治療法で、外来への通院も通常、月に1~2回程です。
血液中の老廃物は、透析液との間の濃度差により、腹膜を通過して血液側から透析液側に移動します(拡散)。
その後、老廃物を含んだ透析液を腹腔から排出させることにより血液をきれいにします。
水分は、透析液のブドウ糖などで透析液の浸透圧濃度を高くして、浸透圧差で除去します。
1日4~5回の透析液交換を自分で行う方法が一般的ですが、夜間に専用の機器を用意して実施する方法も選択できます。
腹膜透析は、維持透析初期に在宅での透析を希望される患者様に最適な治療法です。